1/11 「化粧」
花魁が、夜中に一人、白粉を塗っていた。
窓の外、夜の闇の中には雪が積もっていた。
真黒い夜さえ美しくなるのなら、真似してみようか。
赤い錦を雪へ被せて。吐く息白い夜の外。
真綿の雪をすくいあげた。
こんな白無垢が着てみたかった。自嘲。

蝋燭の炎が赤い蝶になった。

#365日ss

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