ワイン倉庫。

これも違う、これも違う。これも違う。
盗み出しては、眠り続ける機械人形に飲ませている。

やっと捕まえたぞ、酒泥棒め。

ごめんなさい!
ただ、この子を目ざまさせたかったの。
ワインが燃料になるはずなの。

これはまさか。
貴族に仕える機械執事。


なるほど、理解したわ。
あなたも機械人形なのね。
あたしは、唇を噛みしめて静かに頷いた。

ぽとり、ぽとり。
赤い滴が滴る。

これは、ゼンマイ仕掛けの赤い遺言。


「あたしは、十五年前に死にました」

十五年前、無差別にワイン倉庫に毒入りワインが混入されるという事件が起こった。

「まぁいいや。ワインを飲みに行きましょう。あなたもつきあいなさい」
「えっ、ええ」

バーに行ってワインを飲みながら、お姉さんに付き合うことに。

「十五年前のあの毒入りワイン事件で、多くの機械人形が殺されたわ」
「お姉さん、あなたは」
「ソムリエールよ。ワイン倉庫に出入りしてる人間なんて、ソムリエか警備員か運搬業者でしょう。運搬業者だと思った?」

ワインは機械人形の燃料である。
貴族は死後、人形としてもう一度生きることが許されている。

機械人形の燃料となるアルコール類を選び提供する仕事が、ソムリエである。







あたしは気付いた時から、蜘蛛の巣の中で生活していた。





起承転結。


ワインを燃料にして動く機械人形。


機械人形はワインを飲んで眠る。

倉庫の中のワインの香り。
ルビーを溶かしたような滴。
歯車がくるくる回るための潤滑油。

彼の人の遺言を守るために。
探さなくては。あの機械を目覚めさせるためのワインを。

「それだった、そんなところ探しててもいつまでたっても見つからないぜ」

倉庫の奥の、隠し扉が開く。

「さぁ。行くか、それとも引き返すか。どうする?」





「やっぱりな。確信したよ。お前は機械人形じゃない。生きている人間だよ」
「どうして……?」
「滅多にいない種類だけどな、体は別のところにあって、意識だけ機械人形に映してあるやつだ。音が違うんだ」


紅なずパロっぽい話。



・回想。
この子を助けてくれ。ぼろぼろの紳士が幼い少女を抱えている。
いいや、あれは少女じゃない。少女の形をした人形だ。
彼女を死なせたくなかった。


私は大切に仕立てられた人形。

機械人形は禁じられている。衛兵が突然入ってきて、さらわれてしまうヒロイン。

でも衛兵は見た目は怖いけれども優しい人だった。

「実は、国中の機械人形を全部壊してしまおうという話が出ている」

・最後には壊されてしまうが、
実は地下に生きている肉体が残っていて、人間としての体で目を覚ましてハッピーエンド。


・草木染の布の話。
・大切に染め上げた布を、山賊みたいな荒々しい男がかっぱらってしまう。
取られまいとしがみつくうちに、ヒロインもくっついてさらわれてきてしまった。
すまなかった。どうしても必要だった。染めものが、傷を癒すと聞いたもので。
そんな力を持った布は、他のどこでも見たことがない。
・最終的には、この布で花嫁衣裳を作ろう。いつまでもそばにおいてください、ってなる。



時計アリスと豆ウサギ
・豆本づくりをしていた。読むためというよりもインテリアだね。
 豆本づくりの師匠に習ってせっせと製本する。
 すると。
 手のひらに載りそうな、ミニサイズのウサギが現れた。
 なにこれ。
 実は、不思議の国へ誘い込むウサギの末裔だ。
 人が作り出す物語には、この世界に存在しないものを生み出してしまう世界がある。






星座が川から逃げ出した。

鴉天狗が星を盗んだ。

「どうしてこんなことをしたの」

怪我した鴉天狗を助けて介抱する。

「俺は濡れ衣を着せられたんだ」

最後は仲間になる。

鴉天狗は空を飛べる。
だから星を盗んだと言われた。

鴉天狗は星を盗むという迷信がある。
なぜか夜の暦から、唐突に星が消えるのだ。
それを見守るのが、天文司の役目でもあるのだが。

天文司は星を読む。

犯人は中宮。
帝からの寵愛を得るため。星に祈りを託していた。


星の獣は白い鳥の姿をしている。
鴉は夜と同じ、黒い翼。
夜空を翔けても誰にも見つけてもらえない。

「私があなたを見つけるよ。だからもう、夜の中にさまよっても、寂しがらなくていいんだよ」






図書館の中の迷子の本の話。




起承転結。

起。
燃料切れの機械人形。
燃料はワイン。
ソムリエに頼んでワインを選んでもらおう。

一昔前、機械人形が流行したころに次々と生み出された人形たち。
その後機械人形は禁止され、多くは廃棄された。が、一部の機械人形は、かくまわれてひっそりと生きていた。
機械人形が生きるために必要なのが、蒸留酒だ。

父のような存在であった、生みの親の機械人形技師が姿を消して、機械人形の姉妹達は、姿を隠してひっそりと平穏に過ごしていた。
しかし、命の源である蒸留酒が、とうとう底を尽きてしまった。
人間に見つかれば、機械人形は廃棄されてしまうという危険を承知で、メゼは蒸留酒倉庫に忍び込む。
そしてすぐに見つけられてしまう。
が、彼女を見つけた少年ソムリエも、彼もまた機械人形の体を持っていた。「安心しろ、俺も機械人形だ」

そもそも、なぜ機械人形は禁止されたのだろう。
それは、一部の限られた人間たちが、蒸留酒と機械人形を独占していたいと企んだのだよ。

※アメリカ西部移民風世界。


承。
ソムリエを探してさまようヒロイン。
古いワイン倉庫にたどり着く。
そこで、ジグソーパズルに熱中する青年に遭遇。
ソムリエのラッカス。

転。
そもそも、機械人形とはなんなのだ。
一昔前、大切な人を機械人形にして手元に残す貴族の趣味が流行った。

結。
機械人形が目を覚ます。
彼は機械じゃない。ちゃんと生きている人間だ。安心して。
一緒にワインでも味わおう。




気が付くとサーカスのテントにいた。どうして私はこんなところに?
双子のピエロが出迎える。
あなたは『声』を持っている。




女盗賊。部下1は弟。

壊れた機械の欠片を拾う。

その機械の部品について探っているものが現れる。
機械は、昔の機械人形の破片。

ヒロインは、昔消えた王族の一人。
治したかったのは、唯一の付き人。

本当はもう治せないんだよ。壊れたものはもう戻らない。
でも、夢を見たっていいじゃない。
取り戻したかったのよ。
壊れたものを、もう一度、修復したかった。
泣きじゃくるヒロイン。

うん。そうだね。
だから僕は君を探しに来たんだよ。
ずっと探していた。

僕は君を治すためにここにきた。




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