『冥王輪舞曲』
ポトリと一粒
こぼれ落ちる雫
それはあたかも
不完全な戯曲のような
カシミアは、マントの襟をかき寄せながら、たどりついた先に目の当たりにした光景に、ただ言葉を無くして立ち尽くした。
私はきっと殺される
そう言い残した男は、物言わぬ屍となって、枯れ木に吊るされていた。
ああ私は、彼を助けることができなかった。
予言者と呼ばれる彼女、カシミアが手にしているのは、黒いカードのようなもの。
死神の招待状と呼ばれている。
ざわざわと、風も無いのに枯れ木が揺れる。
愛しい人よ
暗闇と手を取り踊りましょう
星を穿つワルツ
魂を溶かす 死という美酒を
どこからか聴こえる、さざめき嗤うような歌声。
目の前が眩む心地がして耳を塞いだ。
貴方は死の国の舞踏会に客人を呼びよせようとしたのね。
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2013/2/20
15分 346字 未完