『自白、潔白、独白、白い部屋』





格子の窓に、ヒルガオのつるが巻きついている。
陽の光が綺麗だなぁと思った。
とても不思議な場所だった。
どうしてこんな、小さな四角い空間の中に、人を閉じ込めておくのだろう。

「いいですか、何を問われても、私は無実ですと、あなたの主張を貫いてください」

白い箱のような留置場と呼ばれている部屋の中。
何を言われても、耳に聞こえた言葉は、私の深いところに届かずに、空気の中でくるくる、くるくる空回りしているように思える。

「弁護士さん、法律って何ですか」

力無く微笑んで問いかけると、まだ年若い女性である私の弁護士は、面食らったように目を丸く見開いていた。

「法律は・・・法律ですよ、あなたは窃盗をして、目撃した通りすがりの男性を、もみあいの末に殺してしまった、しかしあなたはまだ未成年、問われても殺人罪ではなく傷害致死罪、そして精神鑑定によっては」
「私の世界にも、悪いことをした場合は裁判や審議というものがあったんですが・・・・・・全然様子が違うなぁ。私はここで何をすればいいのでしょう。私があの化け物を、私の世界からこちらの世界へ逃がしてきてしまったから、私はこちらの世界で、こちらの世界の法律で裁かれることになるのでしょうか?」

弁護士は、綺麗に整った目元をひそめて、睨むようにじっと私を見ていた。

「まさか、本気でそんなこと言っているの?精神異常を装っているのではなくて」
「ええ、私は嘘をつけないようになっています。
私は、人の魂を食う妖怪を、もう一つの世界、こちらの世界へ逃がしてしまった。
追放という判決で私もこちらへきました。
でも、あの妖怪を捕らえれば、釈放期間が与えられる。
うまくいかないですね。運の悪いことに、巻き添えで死なせてしまったあの人は」






-----------------------------------------------------
2013/2/21
30分 734字 未完


inserted by FC2 system