私の父を殺した人間。
どこにいる。
絶対復讐してやる。
「爆発寸前の火種のような眼をしているな」
私の顔を覗き込みながら、にやりと物知り顔な含み笑いをしている。
「錬金術師になりたいか?」
「今の私には…何の力もない。どうすれば、父を殺した人間を探し出せるのかもわからないし、見つけ出したところで、どうやって仇を取ればいいかもわからないんだ。
何でもいいんだ。あの宮廷の中で、どんな人間であろうとも対抗できうる力がほしい。仮にそれが、王族の人間であっても」
「そう思うならやめておけ。錬金術を得たとしても、特に何の力も持つことはできない」
「だったら、一体何のために、錬金術なんて」
「さぁ、なんでだろうな」
そもそも、錬金術のいわれを教えてやろう。
愛する人に触れたとき、黄金の像に変わったのだと。
「お前は誰かを愛したことはあるか」
思わぬ唐突な質問に面食らった。
「どうだろう、私にとって大切な人は、本当に、父一人だけだった……」
思わず声が震えた。
こみ上げてくる怒り、凍りついた憎しみの炎。
一体誰が。
私の大切な人を奪ったのか。



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(2015/3/29


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